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私は人形に《念》(おもい)をこめない。
人の形に似せた《器》をつくる。
空でなければ《器》は用をなさない。
魂の入れモノだ。
観る人の心が内部(なか)に映ってはじめて
人形は舞台で《生きモノ》になる。

百鬼どんどろ 岡本芳一


1974年東京にて創設。
テレビ人形劇などの人形製作のかたわら、自作の等身大人形をつかった

パフォーマンスを都内小劇場、街頭などで上演。
 
80年より「百鬼人形芝居どんどろ」と改名し
荷車を引いて芝居道具、生活道具をつんで歩く旅芸人生活開始。
野宿、自炊の生活をしながら神社の境内等で 丸太小屋を掛けての
見せ物人形芝居を展開。 6年つづける。
 
86年信州伊那谷に移住。
「清姫曼陀羅」など現在に至る一人芝居の代表 作の創作開始。
等身大人形や仮面などを使い、同時に、
遣い手自身も黒衣 (人形遣い) としてではなく、
演技者として舞台に加わる独特の形態をもちいた表現で
舞台活動をしている。
これは創設者・岡本芳一によって創作されたオリジナルなもので、
人形劇、舞踊、パントマイムなど、すべての既成のジャンルに属さない。
物語性よりも、人形と人間がおりなす錯綜の中で人形そのものの持つ
不思議な魅力を引き出す事により、普遍的な人間の内面世界、
あるいは幻想的な妖美の世界を描き出している。
 
ヨーロッパをはじめとした世界各国で
「日本の伝統を基盤にしたオリジナルで斬新な表現」として
高い評価を受け、数多くのフェスティバル等から招待され、
海外でのワークショップ、岡本芳一の舞台ソロ公演、
野外公演、他ジャンルとの共演など、幅広く活動。
 
また、本作「VEIN」の製作と同時期に、人間の罪と罰、
そして魂の救済を描く瀬々敬久監督による映画
「ヘヴンズ ストーリー」にも出演し、活動の場を広げていた。
 
しかし「百鬼どんどろ」の岡本芳一氏は、 昨年秋より
「骨髄異形成症候群」という難病治療の為、
松本の信州大学付属病院にて闘病していたが、
唯一の治療法である骨髄移植後の経過がはかばかしくなく、
合併症などの為、2010年7月6日午前7時14分、
享年62才にて永眠。
 
百鬼どんどろHP
http://www.yumehina.net/dondoro/index.htm