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のいのい様のブログより

 

本日は…

監督:渡邊世紀

 
『人形のいる風景』

 
『VEIN‐静脈‐』

の試写会に行ってきました◎


岡本芳一さんという人形遣いの方を追ったドキュメントと、
その岡本さんの遺作を映像化した作品の2本立て上映。

僕は岡本さんという方を存知あげなかったのですが、

“等身大人形や仮面などを使い、同時に遣い手自身も黒衣(人形遣い)
 としてではなく、演技者として舞台に加わる独特の形態をもちいた表現”

というスタイルで独自の世界を展開されていたのが岡本さん。
日本でよりも海外での評価が高かったようです。


『人形のいる風景』はそんな岡本さんの人形に対する思いや表現を追った
ドキュメントで、『VEIN‐静脈‐』は岡本さんの遺作を映像化したもの。

最初にドキュメントを上映して岡本さんの人柄やアーティストとしての
心情などを垣間見ることが出来てから『VEIN』だったので、
どんな思いでこの作品を創ったのだろうかとか考えながら観ることが出来ました。


「お互いに傷を持つ顔に包帯を巻いた私(岡本さん)と、血管が剥き出しの身体を持つ少女(人形)。

互いにいたわり合いながらも決して相手を救うことが出来ない…」


『VEIN』は1時間弱、台詞のない岡本さんと人形とのやりとり。
台詞がなくても人形の表情が場面によって全然違って見えてきて
物凄いインパクトがあります。
2人の心の痛みや傷がズキズキと観ている側にも伝わってきて、
でも時には凄く優しい空気に画面が包まれる瞬間もあったりして…。

観る側の解釈次第で如何様にも想像できるような広がりがある作品でした。

なんかね、ピナ・バウシュの作品をふと連想しちゃった。
言葉なんか無くてもこんなに観る側に伝えることができるんだなあって。
ピナが提唱していたタンツ・テアターに近い感覚かもしれません。

ドキュメントでの岡本さんの言葉もとても重みがあって印象的。
自分の死が近いというのを予感しているかのような言葉もあったりして
何だか心にズドーンと響きました。


終演後には監督である渡邊世紀さんともお話をさせていただきましたが、
実際に創った方から直接お話をうかがったことで見えてくることもあって
とても貴重な時間を過ごさせていただきました。


上映は6月を予定しているそうです。
静かなエネルギーに溢れた作品なのでぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?

 

Taverna del noinoi