200X年冬
しんしんと降る雪
凍てつく夜
ほの白い灯りの下で
あなたは首を天井から吊られて立っていた
小さな肩
歪んだ手足
畸形の裸体
むきだしの静脈がかすかに脈打つ
細い息を吐きながら
あなたは何もない一点を見つめていた
夢が触手をのばして僕をからめとる
グルグル回る世界
泥のような時間
僕の中に棲む悪魔を凍える痛みが封印する
降り積もる雪の音
赤茶けたあなたの髪が
ストーブのそばでヒリヒリと揺れていた
僕は小さな黒いスリップをあなたのために買ってきたのだ
(文 岡本芳一)